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初めて触れた架空鉄道にして、其の”寂び”の世界観と、且つ偽先生御本人が私の趣味観に多大なる影響を及ぼしている事は、唯一人私のみが、今までの自らの創作物の世界観を以て知っているのです。

創作物のスケールは様々ですが、何れも”私”が今までに吸収されたのであろう、ダイヤから人文学に至るまでの幅広い見識に依って、緻密にと云う他に無い構築がなされています。

日頃より様々な形でお世話になっているのですが、それはともかく、水炭先生の電車やダイヤや土地など、完璧を期すこと抜かり無き架空鉄道へのアプローチは、何より私の憧れです。

雄大豪壮の太電線は、武市氏が持つ欧州への憧れをはらんだフィルターを通して、国境を越えた遥か遠くまで伸びています。

ふぶき氏の何処までも行き届き優しさに溢るるお人柄が随所に覗く、どこかゆっくりと時間の流れる様なあたたかい世界観は、見る人を湯に煙る彼の地へ誘うのです。

殆ど同世代乍ら此処まで確りとした地盤の如き設定を練っておられるのは誠に素晴らしいことでありましょう。私も大いに見習わなくては...

堅実な文章が織りなす長野までの道が生まれる過程は正に刮目物。電車たちが纏う時代の雰囲気もまた佳いんだよ奥さん...。

世界が視える。此の言葉以外に南急を表す言葉が在るか知らん。きっと東京の電車、と云うのが直ぐに分かるでしょう。サインシステム、路線図も素敵。